リアルな失業者を主演にした「自転車泥棒」
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
この監督は確かプロ俳優を使うのが嫌いな方。なので主要キャストの父と子は街で見つけた素人。父役に関しては失業した元電気工だから驚き。
ストーリーと相まっていい味出してるんですこの元電気工。
*ざっくりストーリー説明
戦後のイタリアローマで街中のポスター貼りの仕事をやっとの思いで見つけた主人公のアントニオ父さん。でも採用条件には自転車を持っていることが記されている。
自転車を持っていなかった父さんは妻に相談をしシーツ6枚ほど質屋に売ってその金で自転車を買うことに。
やっとの思いで仕事ができたと思いきや買ったばかりの自転車をガキに盗まれてしまう。
父さんと父さんの子であるブルーノの自転車探しの冒険が始まる!
ざっとこんな感じです。
でも観ていて辛いです。
なんで観たんだろって途中でなりました。
なんで映画を観てまでこんなにやるせない気持ちにならなきゃならないのか。
映画ってもっとワクワクしていいもんだと思ってたのに。
てか、戦後イタリアの人はやっと戦争が終わって「よし!これから頑張るぞ!」って時に自転車泥棒とかいうスーパー鬱映画見たいと思ったのか?
主人公の父さん役の人が失業者だったくらいだからローマの街に失業者が溢れかえってたのかな。
でも監督の思惑キャスティングかもしれないし、、、
まあそんなこと今言っても仕方ないんですが。
実はこの映画を観るのは3回目くらい。
数年に一回というペースで観てます。
今僕は二十代半ばなのでこの映画をまた観るときは多分二十代後半から三十代にかけて。
その時に「めっちゃ感動した!」
てなるんかなと、自分自身の実験的な意味合いでこの映画を観てる部分もあります。
でもそうなったことがない。
犯人のガキはムカつくし、それを援護する奴らにもムカつくし観てて感情が穏やかになる瞬間がない。
でも、一回父さんとブルーノが喧嘩してブルーノが自殺したと父さんが誤解するシーンがあるんですが、あそこでブルーノ生きてて良かったなとは思いますよ。
最後も希望があるのかないのかよくわからない終わり方でしたよ。
でもそういう終わり方をしたかったのがこの映画作品の狙いだったんですかね。
「映画なんだからお前らおもっきし落ち込んどけよ!たかが映画!」
そう思いながら観るのもアリかもです。