eigantanのブログ

古くて懐かしい映画とかを今更語る。

全部ハーヴェイさんのお陰

監督:ヘンリーコスター

エルウッド・P・ダウド - ジェームズ・ステュアート: 名門ダウド家当主。42歳。
ヴィタ・ルイーズ・シモンズ - ジョセフィン・ハル: エルウッドの歳の離れた姉。エルウッドと同居。
ミス・ケリー - ペギー・ダウ: 看護婦。
サンダーソン医師 - チャールズ・ドレイク: 精神病院「チャムリー療養所」の若い医師。
チャムリー医師 - セシル・ケラウェイ: 「チャムリー療養所」院長。
マートル・メイ・シモンズ - ヴィクトリア・ホーン: ヴィタの娘。
マーヴィン・ウィルソン - ジェシー・ホワイト: 看護士。粗暴。
ギャフニー弁護士 - ウィリアム・リン: ヴィタの顧問弁護士。
タクシー運転手 - ウォーレス・フォード

 

 

ざっくりストーリー解説

アルコール大好きなおじさんエルウッド(多分アルコール依存症)と映画内では物理的に写っていないが大抵エルウッドの隣にいるクソでかいウサギのハーヴェイと人々の物語。

 

「この人がハーヴェイです。」行く先々で色んな人にエルウッドがハーヴェイを紹介するのですが大抵スルーされたり怪しまれたりします。

 

でもエルウッドはそんなこと気にしないというか気に掛けない。

 

もう自然なんですね。エルウッドが。

 

なんで1人で重く悩むこともないんですね。

でもエルウッドの周りの人たちはパニクったり誰かを妬んだり怪しんだりしてる。

そんな物語。

 

*ハーヴェイと時代

この「ハーヴェイ 」自体アメリカで1944年に舞台作品としてやってたんですね。

1944年のアメリカといえば第二次世界大戦真っ只中です。世の中も冷静ではいられない状態ですよね。

なので民衆は自然とこのエルウッドのようなシンボルを求めていたのかなと。

現にエルウッドは酒場の裏の路地で「ハーヴェイが素晴らしいことをしてもみんな行ってしまうんです。どんな人でも妬みを持ってるんでしょう」

そう少し残念そうに話すエルウッド。

何か世の中に訴えてるとさえ思わせるシーンです。

戦後間もない映画ってこういうシーン多いですよね笑

 

黒澤明監督の「素晴らしき日曜日」では物語終盤でヒロインが観客に拍手を求めるという演出があるそうですがそれが野球で例えると直球160キロのストレートだとすると数ある映画は152キロのツーシームを投げていた感はありますよね。

 

それくらい世の中生きづらくてしょうがなかったのかな。

 

今現在は別の生きづらさがあるのかもしれないですね笑

 

*ハーヴェイは時間を止めることができる?

 

物語終盤でエルウッドと精神科の所長が対談するシーン。

エルウッドは所長に「ハーヴェイは時間を止められる。

科学が色んなものを証明、発明したが時間を止めることなどできない。

ハーヴェイはそれができちゃう」そんな感じでエルウッドがハーヴェイの凄さを所長に語り「でもそれをどう使ったらいいかわからない。行きたい場所がない」

でもエルウッドはハーヴェイといつも一緒にいる友達で親友なわけなんですよね。

自分が間違った解釈をしているかもしれませんがハーヴェイは超万能全知全能に近い存在。

戦後アメリカ版ドラえもん的なところでしょうか。(あからさまな超能力が披露されるシーンはありません)

 

こういう解釈で合ってるのかもわかりませんがエルウッドはそんなスーパーマンウサギ版みたいな友達がいるのにその能力に頼らず、というかハーヴェイに対しては

「そっち行くの?そっちの方がいい?いいや僕はどっちでもいいよ?君が決めな?」

とハーヴェイには一切束縛しません。

あくまで対等な友達として接してるんですね。

ブログを書きながらこの映画の真意がよくわからなくなってしまいましたがこの映画の物語は素晴らしいことはわかります。

その反対でエルウッドがアルコール依存症ぽいところ、第二次世界大戦戦中戦後にこの作品が世に出されたこと、

この時代にはアメリカの帰還兵がたくさん街中にいたでしょう。

五体満足でない人。

戦争のトラウマで精神疾患になってしまった人。

そんな人たちがたくさんいた時の上映作品です。

でもその闇をも抱え込む優しさがこの作品にはあると思います。

現に今見ても全く色あせていない作品に感じます。